いつもご覧頂きありがとうございます。CrossingBordersのスタッフブログ担当Oです。

本日は皆様に、海外進出を支援する側だからこそ感じる、「日本企業が海外進出が下手と言われる原因」についてお話したいと思います。 多少辛口になるかもしれませんが、皆様の海外進出を成功させたい一心だからこそと思い、お許し下さい。

Cont01_index01


突然ですが、皆様は「Liability of Foreignness」という言葉はご存じですか? 直訳すると「よそ者の不利益」を意味する言葉、これは経済学において「外国企業であることのハンデ」を意味する言葉なのです。

なぜいきなりこの言葉を持ち出すのか!? それは、海外進出の際にこのハンデをどうしても乗り越えられず志半ばで断念してしまったり、せっかく進出をした諸外国から撤退してしまう日本企業様が余りにも多いのです。

Untitled

日本に進出してくる海外企業にとっても、この「よそ者の不利益」は存在するはずですね。しかし、CrossingBordersの一員として様々な進出をお手伝いさせて頂いている日々の中で様々な企業の成功例を研究・分析したり、直接お話しを伺っていると、外国の企業は日本企業に比べ、優れた順応性を見せているように感じます。

例えばマクドナルド。身近すぎてこの記事を読んで初めて実は外国企業だったことを知るなんて方もいるかもしれないと思ってしまうほど日本の食文化に定着している外国企業ですね。

このマクドナルド、実は展開している国に合わせてメニューが異なることはご存じですか!?

もちろん、定番中の定番商品であるハンバーガーチーズバーガーなどは全世界中のマクドナルドで食することができますが、マクドナルドの凄いところはここから!

テリヤキバーガー月見バーガーなどは日本でしか食べることはできませんし、逆に世界のマックを見渡すと・・・ フライドチキン+ご飯のセットメニューがある国、スパゲッティがサイドメニューとしてある国、フォーが存在する国など千差万別。

マクドナルドの進出戦略は自らの「定番商品」は世界中で販売しつつ、その進出した国に特化した「ご当地メニュー」を取り入れる事で、その国に一気に浸透するという、とても理想的な展開戦術であると言えるでしょう。さらに、このご当地メニューのおかげで既にマクドナルドがある国から訪れた観光客までをも見込み客としているのです。

想像してみてください。外国のマクドナルドでお米+フライドチキンやフォー、スパゲティなど食べて見たくありませんか!? もしも海外旅行で行った国のマクドナルドで、その国でしか売っていないメニューがあれば、一度は食べて見ちゃいますよね。しかしこれが例えばどこの国でも統一されたメニューしか売っていなかったらどうでしょう!? 自国で食べれるものを旅行先でまで食べようとは思いませんよね。

やや話が脱線しだしたのでここらで軌道修正を。

さて、この「よそ者の不利益」ですが、最も解りやすい失敗例があります。

富士通やパナソニック、シャープなど日本を代表する電機製品メーカーが参入している国内携帯電話市場。それだけの大手一流企業が凌ぎを削り合っている業界なだけに、一昔前から「日本の携帯電話の性能の良さ」は海外でもトップクラスとして有名でした。しかし、現状はどうでしょう? エリクソンとの共同出資により海外でのシェアを獲得できているソニー以外は全社海外市場に参入はなりませんでした。なぜ!? これらメーカーはあくまで日本の市場が求めるニーズにこそ高水準のサービスを提供していたのですが、海外の市場のニーズを理解することはできず、結果として「よそ者の不利益」を乗り越えられなかったからです。

日本人ほど井の中の蛙な人種はいない!?

海外進出を考える企業様との面談や、海外進出した後に成果があまり出ていない企業様の担当者様と話している時に一番感じるのが、「なぜこの人達はこれほどまでにステレオタイプを持っているのか!?」ということです。

例えば、進出のターゲットとなる国の選定過程。ここの国はこうです、あぁですとあくまで市場という観点からご説明申し上げていても、担当者様の口から出てくるコメントで「あぁ、あの国は時間にルーズだからね」「この国は外国製品を嫌悪するからね」と総体的なコメントばかり、 しかも、「失礼ですが、その国で暮らされたことがおありですか?」という質問には大抵「いいえ。」あるいは「はい」と答えてくれた人でも蓋を開ければ「語学留学で3ヶ月ほど」「学生時代にバックパッカーで数週間ほど」と言うような内容ばかり。そんな短期間で全てを解ったような物言いをされては相手の国の人もたまったものではありません。

多くの日本企業が「よそ者の不利益」を乗り越えられない原因の一つとして様々な研究者から言われるのは「ターゲットとなる国の風習、作法の理解不足、あるいは誤解」だそうです。

持ち込むべき・持ち込まないべき in Japan

日本の企業が海外進出を計画する際に最も力強い武器は何でしょうか?それは当然、世界に名だたる日本製品であること、すなわち「Made in Japan」と、日本で使われている、すなわち「Used in Japan」という2つの「in Japan」です。とある統計では、「新品の中国製よりも中古の日本製・あるいは外国製でも日本で使用されていた物」の方が人気があるというデータも取れているので、この2つの「in Japan」は当然高々と掲げるべきでしょう。

しかし、ここで海外進出に失敗する企業様がやってしまうのが、「日本ではこうである」、すなわち「How it is in Japan」までをも持ち込んでしまうのです。

想像してみてください。

クール・ウォームビズに代表される「省エネ」は日本ではもう当然の常識ですね、しかし、諸外国でははたしその考え方についてこれているのでしょうか?

私自身の経験談では、否! 諸外国のオフィスは総じてエアコンが効きすぎているのか、夏場にスーツの上着着用でも少し寒いくらいキンキンに冷えている、冬場にTシャツ1枚でも難なく過ごせるほどポカポカに暖まっている国のほうが多いです。では、そんな国を相手に「省エネ」を殺し文句に商品を売り込むことが効果的でしょうか? 答えは語るまでもないですよね。

このように、国が変われば様々な変化があるのがビジネス業界。

野球やサッカーなど、そこの国でもルールが変わらないスポーツにおいて世界進出を目指す選手たちはただひたすらその「技術」のみを磨けば良いのに対して、その国、その国特有のゲームルールがあるビジネス業界では「日本ではこうだ」というやり方など一切通用しないのです。

出社時間一つでも、その違いは歴然とします。日本、アメリカ、イタリアにてそれぞれ10年ずつサラリーマンを経験されたある企業の取締役のお話では、日本人はどんなに遅くとも始業5分前には自分の席に着席、仕事を開始し、休憩や終業時も定時を回ろうとも上司がいる間は帰ろうとする人間が皆無であるのに比べ、アメリカ人は始業開始時刻ピッタリ、ないしは5分ほど過ぎてからコーヒーやドーナツなどを片手に悠々と着席、休憩や終業は時刻ピッタリ、またイタリアでは始業時間から30分後くらいまでにゾロゾロと出社、そこからコーヒーを飲むため仕事が始まるのは1時間後、終業は定時30分前にまだ着席している者など余程の変わり者である。そうです。

古くから日本の営業マンには相手方にとって不利益な交渉を締結したい時に用いる「飲み物の汗」という戦術がありますね。待ち合わせ時間よりも早めに到着、飲み物を先に注文しながら手を付けず、汗をタップリかいた飲み物で相手に無意識の内に「待たせて悪いなぁ」という心理を働かせることで押し切ってしまうという戦法ですが、上述の話を踏まえて、この戦法はアメリカやイタリアでも有効的であると言えますか?どちらかと言えばイタリアなどでは「せっかちな奴だ」と相手を不快にさせてしまう恐れまであるのでは無いでしょうか?

出社時間や勤務態度に違いがあれば、ビジネスの作法も異なってくるのは至極当然の話。先ほどの営業戦法以外にも、日本人ビジネスマンが知っておくべきビジネスの作法の違いはこんなものが挙げられますね。

  • 土日に接待スケジュールが入るのは日本のみ。
週末は諸外国のビジネスマンの中ではごく当たり前に「ファミリーデー」と位置づけられています。月から金まで毎日戦っているお父さんも土日だけは子どもと過ごします。これを理解しておらず、「接待ゴルフ」に招待したある日本人営業マンは相手が当然のように家族連れで来て、「君のファミリーはどこだ!?」と聞かれたり、中には誘った時点で「土日に家族と過ごさないなんて!」と露骨に不快な顔をされ、叱られた方もいるそうです。

  • 5時間際のEメールや電話連絡に折り返すのは翌営業日
仕事とプライベートをキッチリ分けることを重視する諸外国で日本の営業マンにありがちな帰宅しようとした矢先に問い合わせが入ったから遅れるなどということは全くと言っていい程存在しません。残業代の有無にかかわらず、翌営業日でも良いことはどんどん翌日に回します。 

ここまで書けば、日本企業が固執しがちな「日本でのやり方」はあくまで日本の社会的考え方や経済状況があってこそ通用するものであり、海外で通用するケースは稀であることはお分かり頂けたでしょうか?

では、日本企業は今後この「よそ者の不利益」を乗り越えるためにどうすれば良いのでしょう?

携帯電話業界に話を戻します。日本のお隣の国、韓国の某メーカー、S電子は世界の携帯電話業界でいまやアップル社に勝るとも劣らない強豪です。そしてこの国がここまで海外市場を相手に成功を収めた背景には自社社員を2年間、進出を狙う国に居住させるという戦法があります。

この国外に居住している社員は特に何をしなくてはならないと義務付けられている訳では無いのです。ただ、2年間一回も欠かすこと無く毎週送信しなくてはならないレポートを除いては。

このレポートには、その社員や家族がその国に住んで不便だと感じたこと、自国との比較など生活している人間でしか手に入れることができないデータが詰まっています。そしてその膨大なデータがS電子の進出戦略を決定する上での秘密兵器なのです。生の声があってこそ、その国では何が売れるのか、何が求められているのか、その国のビジネスマナーはどうなのかという必要な情報が見えてくることは言うまでもないでしょう。

しかし、今から海外進出を開始しようとする日本企業がこのS電子と同様の戦法を取れるでしょうか? 可能か不可能ならば「可能」と答えることはできても、実際にそれを実現するには人員の選定 (語学力の観点から、及び本人の同意が得られるかも含め) に加えて莫大な経費 (企業の都合で派遣する以上は社員の給与額を下げるわけにも行かず、 単純計算で最低でも25万円 ×24ヶ月+賞与や手当などで800万以上の出費)などから実現は難しいと言わざるを得ないのではないでしょうか?

ではどうすれば良いのか?

CrossingBordersでは主に「中小企業」と呼ばれる企業様を対象に海外進出支援サービスを提供しておりますが、実はこの海外進出は中小企業の方が有利であるということはご存知でしょうか?

世界の様々な地域にキャンパスを持つビジネススクール、INSEADのヴィット教授はこう語っています。

「よそ者の不利益」の多くは、個々の企業が対応できる問題である。その意味で、企業が取るべき最初のステップは、日本と現地との間にある顕著な違いに気づくことである。中小企業の場合、時間をかけて徐々に海外展開を進めることで、この問題に対応するケースが多い。まずは機会をとらえての輸出から始まり、次に現地にマーケティング担当者を置き、その後に合弁会社を設立して、長期的には合弁会社の完全子会社化を進めるといった具合である。

大企業が海外に進出する場合には、このようなゆっくりしたペースで物事を進める余裕がないことが多い。一方で、中小企業と比べて多くのリソースを持つため、現地と国内との違いを理解するために体系的な分析を行うことができる。通常、私はINSEADでこの体系的な分析を3つのレベルに分けて行うことを推奨している。それは、進出先の国のマクロ環境と業界分析、そして当該企業のビジネスモデルが海外環境でも再現可能かどうかの判断である。

さらに、同氏は日本企業が海外に進出するにあたって、極力「よそ者の不利益」を回避できる5つの選択肢を説いています。

  • 1. 現地の条件を受け入れる。
業務プロセスを再構成するなどの手法でスキルの低い労働者でも就労を可能にする。本来、日本人ならば1人でこなすようなプロセスも進出する国々の教育や労働環境を配慮、細分化することで日本と同水準の仕上げを可能にする。東南アジアなどの発展途上国に進出する企業ではすでにこのやり方がスタンダードとなりつつありますね。

  • 2. 進出先の変更。
何も国自体を変えろというわけではない。もちろん、状況に応じてはそれも当然必要となるだろうが、例としてヴィット教授は中国に進出する際、通常どの企業も目指す大都市では無く、小都市を選択したことを例にあげている。そのドイツ企業はメーカー数者からなる、いわゆる「連合体」だったらしいが、進出先に選択した小としには自分たち以外の同業企業は存在しなかったため、各企業が人材を競合他社に引き抜かれる懸念なく労働者の訓練に時間を割けたというのである。

  • 3. 適切な人材に拘らない。
日本では当たり前に見つかるような人材でも、教育や労働環境、社会的考え方が違う異国では中々見つからないという場面も多々有ります。このような場合は一思いに別の分野が得意な優秀な人材に目を向けてみるのも手であるということですね。

  • 4. 当該国とのギャップや不利な条件を全て受け入れる。
当然、これは「よそ者の不利益」を回避するどころか全てのコストを背負うことになるので、致命的なミスとなる可能性がこの5つの選択肢の中でも最も高いです。

  • 5. 進出自体をやめる。
ヤケクソでも何でも無く、「引くことも勇気」という言葉どおり冷静にすべての状況を判断しての進出取りやめならば経営者としての英断と後々評されるようなことにもなるかもしれません。

いかがでしたでしょうか?

最後に、CrossingBordersは海外進出を検討されている企業様の「よそ者の不利益」を極力回避するための「6番目の選択肢」として存在していることをお忘れなく!

当然、ご相談やお問い合せはいつでも無料です!!

海外進出支援サービスに関するお問い合わせ・ご相談はコチラからお気軽に↓↓

free